インプラントについて

手術後の注意 − 快適な歯を長持ちさせるためのコツ

抜けた歯の治療としては、ブリッジや入れ歯の治療がありますが、ブリッジは両側の歯を土台に橋渡し歯のない部分を補う方法ですので、両側の残っている大切な歯を削ったり余計な負担をかけることがあります。また、入れ歯については残っている歯の何ケ所かにバネをかける方法ですので、残っている歯に余計な負担をかけるだけでなく異物感や審美性に劣ることがあります。また一日に何回か取り外す必要もあります。この点、インプラント治療は自分の歯をいじることなくしっかり根付いた歯を取り戻す治療ですので、残っている歯を大切にでき見た目にも美しく、楽しく食事を味わっていただけるようになります。このためインプラントを植立した患者さんの感想は、天然歯が蘇ったような感じがすると話される方が圧倒的に多くおられます。特に入れ歯を装着していた患者さんは、入れ歯の取り外しの煩わしさや入れ歯のがたつきなどの不具合から解放されます。

また、入れ歯を装着している方は、知人友人と会食をする場合や泊まりがけの旅行に行く場合に、入れ歯の手入れが障られるためにつき合いに梼躇するという悩みもあるのですが、インプラントでは天然歯に村するケアに準じたお手入れで済むため、まったく自然にふるまえるということです。

歯周病で歯を無くした患者さんなどは、残っている歯も歯周病が進行している場合が多いためインプラントの方がかえってよく噛めるという意見さえもよく聞きます。これらの感想や意見は、歯を失ってはじめて実感するものなのです。それだけにすべての歯が健康に残っているということは、とても幸せなことだということを再認識することが重要です。

そして、不幸にも歯を失ってしまった場合に、最も自然な治療法であるインプラントで治療を行うということは、決して贅沢なことではありません。

歯科で従来から行われていた治療は、虫歯の部分を削除したり、ブリッジにするために健康な歯を削ったり、ダメになった歯を抜いたりと、生体組織を取り除く治療でした。しかしインプラントは唯一与える再生療法です。

現在、日本歯科医師会を中心に展開されている「8020運動」は80歳で20本の歯を残そうというものです(健康なお口の中には28本の歯が存在します)。これは従来型の取り除く治療がベースになっているから、できる限り残そうという考え方に基づくものです。この運動に人工歯根(インプランント)が加わり、人工とはいえどもインプラントを1本の歯と考えると、歯を取り戻す「8028運動」も成り立つのです。

これにより患者さんの表情に明るい笑顔が満ちあふれ、違和感が少なく自然な感触で楽しくお食事が可能となり、元気に社会生活が営めたら、これ以上の幸せはないのではないかと感じています。

インプラントは人工の歯根と人工歯のセットなので虫歯にはなりません。しかし、不潔にしていると歯周病のような状態になります。インプント周囲炎も歯周病も同じような細菌が原因で疾病するといわれています。歯を取り戻されたことを契機として、お食事のあとの歯の清掃の習慣付けで、口の中の清潔な環境に保たれることはとても大切です。昨今、歯の歯垢の除去には、音波や超音波振動よる電動歯ブラシや口腔洗浄器の開発改良によりお口の環境改善に役立つ口腔清掃器具のご使用も一考に値します。お口の環境に適合した機種の選定や、適切な操作方法などを担当の歯科衛生士に相談されると良いでしょう。第4章「歯周病をどうくいとめるの?」で述べたように、噛み合わせの調整も含めて定期的な管理指導も守っていくことがとても大切です。